VIAGGI

CampaniaNovembre 2003

サーーー!!

チェックアウト後、宿から支給される朝食券を手に提携店のバールへ。

賑わう朝のバールでオヤジたちに潰されながら、おなじみコルネットとラテマキアートをば。バールに入った瞬間鼻毛を刺激するカッフェ臭と、朝からけたたましく鳴る救急車のサイレン音でイタリアを噛みしめる。

ナポリまで列車の道のりは、ケチって鈍行にしたせいでこりゃ長かった。行先が合ってるか途中不安になりつつも、テルミニを出発して3時間後、何もない風景に変化が。前方に高層ビル群が見える!おお!あれがナポリの街ですぞ~!。

街歩き用に地図を所望すべく立ち寄った観光案内所で、係員とダベっていたオヤジがこちらを向き嬉しそうに英語で話し掛ける。ガイジンとお話ししたいのだろうが、お勉強のためつたないイタリア語で返す。ナポリの見どころをまくしたてたオヤジと別れを告げ、ガイドブックでは悪名高いチェントラーレ駅前に出よう。身ぐるみはがされないよう気を引き締めて行かねば。

ようやっと着きましたぞナポリ駅前
ようやっと着きましたぞナポリ駅前
薬局の看板になぜか欧州を感じる
薬局の看板になぜか欧州を感じる

ツバをつけておいたお宿は工事中であるものの、宿泊は可能との事で部屋を見せてもらう。なんと改装したて、新品ピカピカのしかもコン・バーニョ(浴室付き)!値段もお安いのでその場で3泊の予約をしてしまう。南イタリアの物価の安さを差し引いても、こんなキレイな部屋がこのお値段で泊まれるとはなんとラッキーな。

さて、荷物も置いたので街へ繰り出そう!悪名高いナポリを体感してみようではないか~!

行きたいと切望していたナポリの下町『スパッカナポリ』へいざ。鼻(羽)の利くカーニボン先導で進むと、本で見るいかにも『ナポリ』な狭い路地が我々を出迎える。

時期はすでに11月も終わり。そろそろナターレ(クリスマス)へ向けての準備期間とあって、オーナメントなどの屋台が狭い路地を占拠し営業している。

その中で我々の目を引いたのがキリスト生誕の場面を模したジオラマ『プレゼーピオ』。村が形成され川が流れる大掛かりなものから、ソーセージがぶら下がった肉屋や野菜が積まれた青果屋など、色々な商売を模った小ぶりなものもある。夜には屋台の明かりが坂の下まで続く長い光の帯とり、のけぞるほど幻想的であった。

明かりが灯される精巧な作りのプレゼーピオ!ほいでデカい!
明かりが灯される精巧な作りのプレゼーピオ!ほいでデカい!

おお、もう昼2時も回ってることだし腹ごしらえといこう。辺りを見回すとありましたピッツェリア。せっかくのナポリなのだから『BRANDI』などの有名店に入ればいいものを、こだわりがないのが非グルメの楽なところ。『ナポリピッツァを喰って死ね』の名言どおり、モチモチした生地のマルゲリータを冷えたビッラで流し込む。

しかもこれには店員が1本分のビッラ代をつけ忘れるという特典付き!路地のそこかしこにマリア像が置かれている信心深いナポリ、ご慈悲をありがたく頂戴しておく。

ナポリはよく治安の悪さが取り沙汰されるが、割れたままのショーウィンドウを見るとあながち間違いではなさそう。それも一軒や二軒ではなく、どうせまた割られるからあえて直さないのか。閉鎖された地下道入り口はゴミ溜めと化し、プップカ鳴らされるクラクションの大合唱で耳が痛い。

観光スポットの卵城とやらで記念写真
観光スポットの卵城とやらで記念写真

歌で有名な『サンタ・ルチア』はそんな街のカオスからちょっと外れた、高級ホテルが建ち並ぶ海辺である。目立つ石碑も特に見られず、なぜここが歌の題材となり極東の民まで知るヒットソングになったのか疑問だ。海に突き出すカステル・デローヴォ(Castel dell'Ovo:卵城)は、これまた冬の閑散期だからか妙に寂しげ。城の屋上から海岸線の向こうまで見渡すと、明日もいい天気になりそうな明るい夕暮れである。

卵城から望むサンタ・ルチアとそびえ建つ高級ホテルたち
卵城から望むサンタ・ルチアとそびえ建つ高級ホテルたち
ほいで夕暮れのプレビシート広場
ほいで夕暮れのプレビシート広場

メシの時間~(歓)。そのリストランテに入ったのは特に目ぼしい所もなく、駅に最も近い場所の一つだったからだ。

そこに入ると我々の給仕を担当したのは日本語の流暢なカメリエーレであった。
発音もかなり上級で、「コンニチワ」だけで 「日本語ワカリマス」とのたまう外人とは違い、流れるように「モッツアレッラは水牛のフォルマッジョです」と説明しだした。ヴォンゴレ・ロッソも非常に美味しく、おかわりしたヴィーノ代を勘定し忘れていることを差し引いても安い。ここ『Iris』は数年後再訪するほどにお気に入りのミヅシュラン3つ星に輝く。

ンマい食事を終え、宿に戻り快適な部屋で明日の作戦会議。そうですなぁ、明日は駅のオヤジも推していたポンペイへまいりましょう。明日もいっぱい歩くんでしょうなぁ。おやすみカーニボン。