VIAGGI

LiguriaMaggio 2003

ハイサ~イ!

なんてこった。時差ボケで夜明けを見届けてしまった。
欧州の夏は着たきりスズメでも問題なし、昨夜洗って干しておいた窓際の洗濯物はもう乾いている。今日も天気に恵まれそうですぞ。

宿確保のため午前中には目的地へ着くべく早めにチェックアウト、ついでに朝の街を散策をば。ポンテヴェッキオでは8時前でもう清掃員が作業している。意外に働き者のイタリア人。

ポンテヴェッキオのお写真がないのでそこらの橋をば
ポンテヴェッキオのお写真がないのでそこらの橋をば

さてさて、中央市場で朝食を物色してると、日本語で『ここの名物食すべし』の張り紙の店を発見。地元のおっちゃん連中も旨そうにほおばっているそれは、ランプレドット(茹でて塩をふった牛の胃袋)を固いパンで挟んだもの。うむ、塩加減が絶妙で旨いがパンが硬すぎる。余った硬い部分を家臣にほどこしそろそろ出発。

乗り換えのピサ駅を経由し、本日の宿泊地であるラ・スペツィアは、正午には着くもよう。

ターミナル型の駅が遠ざかり、列車はだだっ広い田舎を走り抜ける。途中味のある民家や「こんな所でまだ活躍してたか」と労いたくなるポンコツのチンクエチェントを発見すると、鉄道の旅はのんびりしてていいですなぁ。遠くに見えるのは糸杉か。典型的なトスカーナの風景とやらですなぁ。などと話したかどうかは忘れたが、予定通りラ・スペツィア駅に到着。

のどかな風景でございますねぇ、ミヅーラさま
のどかな風景でございますねぇ、ミヅーラさま

さて、まずは宿探しから。駅の案内所でホテルリストを貰い、一つ星、二つ星を中心に当っていくがどこも満室を言い渡される。

ムガ~・・・かれこれ6、7件は回ったか。炎天下の中、焦りに追い討ちをかけるように店がシエスタに入り、街はほぼゴーストタウン状態・・・。

推理に行き詰ったらまず犯行現場に戻れ、と言うのが探偵モノの鉄則だが、半ば諦めムードで駅近ナンバーワンのお宿へ。へ?空いてるとな!灯台デモクラシー!しかも今までの中で最安値!即チェックインしチンクエ・テッレまでの行き方を宿のオヤジに確認、さぁ出発しよう~。

チンクエ・テッレは世界遺産に登録されている風光明媚な5つの村。我々はまず列車で一番遠いモンテロッソ・アル・マーレへ。やがて車窓に見えてくる海でリゾート気分満載。

15分ほどでモンテロッソ到着。おお、小ぶりなリゾート地!海岸の西の延長線上はニースなどのあるフレンチリヴィエラで、ここは東リヴィエラと呼ばれるそうな。建物の外壁もピンクや黄色と南欧調でかわいい。

みなさまリゾートの王道を楽しんでらっしゃる
みなさまリゾートの王道を楽しんでらっしゃる

5月だがもう泳ぐのに充分な暑さ。寝そべって日焼けに精を出す人や遠足の子供たちで賑わい、我らコロナ隊も足だけ浸かってリゾート気分をおすそ分けしてもらう。

かわいらしいピンクのお家ですなぁ
かわいらしいピンクのお家ですなぁ
最初に移り住んだ人はなぜここを選んだのか
最初に移り住んだ人はなぜここを選んだのか

帰りは船で別の集落にも降りてみよう!と鼻息も荒く乗船。10分ほどの短い船旅で、これまたチンクエテッレのひとつ、リオマッジョーレに上陸ぅ!

「お船の上はこんなかんじで爽やかぁ(嬉)」「ジャマですよぉミヅーラさまぁ(嫌)」
「お船の上はこんなかんじで爽やかぁ(嬉)」
「ジャマですよぉミヅーラさまぁ(嫌)」
お船から二両編成の鉄道を望む
お船から二両編成の鉄道を望む

リオマッジョーレも観光客がわんさか。ベタな観光地の陶器なんぞお買い求めしつつ、次回はぜひここに滞在してじっくり街を堪能しようと決心したかどうかは忘れたが、再び鉄道でラ・スペツィアへ戻る。

「今回の旅の目的の一つはユネスコ世界遺産のチンクエテッレ」と高らかに宣言していたのがウソのように、さらっと終わってしまった。これもきっと太陽のせいである。

そろそろ腹も減ってきたため「夕食はチネーゼ(中華)にいたしますよ」と家臣に宣言し、宿の隣の店になだれ込む。そう、イタリアの中華屋では大ビンの青島ビッラにありつけるのだ。輝く深いエメラルドの大ビン。そしてこっくりとした味。それが今、二本も運ばれてくる。ごっきゅんごっきゅん、ああ、シアワセ。

中華ではあるも一応イタリア流にアンティパスト、プリモ、セコンドと区別されているメニューから適当に選択。料理も申し分なく旨い。食った食った、ゲフ。

陽も暮れかける中、気持ちがいいので街の広場への散歩とシャレ込む。

家臣の信条『名物は食すべし』にあやかり食後のジェラートを舐め終えると、ゴマつぶ目のまぶたが重くなってきた。夜はこれからなのにもう体内時計は真夜中らしい。いつも早めにダウンしてすまぬな、カーニボン、と心の中で謝ったかどうか忘れたが、夜中に目を覚ます覚悟をしつつ眠りに落ちたのであった。