VIAGGI
もっさ~~!!
例によって夜明け前に空腹で目覚め、カーニボンが昨日の朝食に『オマケで』もらった(買った)パーネをついばみながら日の出を待つ。「朝食は街のバールで」というカーニボンに引きずられ外へ繰り出すも、日曜だからか街は閑散としたまま。錠前をレセプションに残し空腹のまま宿を去る。さあ、また旅のお仲間フォルさんと出発だ!
フォルさんのおケツにピッタリと別トロッコが駐車してあるが、そこはさすが優秀な家臣カーニボン。こすることなく縦列駐車から脱出、狭い路地でのUターンもこなし、本日はサラーメ(サラミ)で有名なノルチャ村へアンディアーモ!
サラーメ名産地のノルチャを語源とし食肉加工店をノルチネーリア(Norcineria)と総称するようになったそうだが、かなりな山間の村。迷わず辿り着けるか。
さて、田舎道から自動車専用道路へ乗り、昨日トロッコをお借りしたペルージャを通過。カーニボンは快調に日本とは反対の追い越し車線を走行しトロッコイタリアーノ(複数形だとトロッキイタリアーニか)を抜いていく。高台にそびえる左手の街はアッシジですかねぇなどと言いながら2時間半ほどで山間の村ノルチャへ到着~!
「日曜ですし、もしかしたら店がまったく開いていないやも」という懸念もなんのその、着いてみるとわずか100メートルほどのメインストリートには溢れんばかりの人!休日のピーカン晴れのもと、多くのライダーさんも立ち寄っているもよう。確かにバイクで峠道を走るのは楽しそうですなぁ。
「ミヅーラさまぁ、ここはもしやテレビに映っていたお店では」優秀な家臣が指し示した先には、店先のサラーメたちといい、カウンターで試食を勧めているヒゲのオヤジといい、イタリア語講座でマリアさんとマッテオ君が訪れた食肉加工店に間違いない。
「パニーニあります」の張り紙に吸い込まれ、サラーメとフォルマッジョのパニーノを買い込みピアッツァで昼食とする。イタリアのパーネはポリデント使用のご老人では噛みきれないほどに硬く単調な味だが、サラーメの塩味で緩和され、昨日のリストランテでの昼食よりコスパが高く満足。「テレビで観た地に来れたのですねぇ」との感動を胸に本日のお宿があるペルージャへ戻る。
自動車専用道路をペルージャ方面へ戻り、市街地に近づくためランドアバウトをグルグル、道路沿いにそびえる大きな建物を発見。それが本日のコロナ隊のねぐら『エトルスカン・チョコホテル』である。
レセプションにて「女王のかんむりですぅ。トロッコで来ておりますがどこへ駐車すれば?」と行儀よく挨拶すると、「これはこれはかんむりさま、お待ちしておりました。トロッコは中の駐車場でもいいですし、前の空いてるトコどこでも構いませんよ」とのこと。チェックインでお部屋の錠前と共に渡されたのは、なんと地図のついたウェルカム板チョコ!
あいや、本日のお宿についてまだ話していなかったな。
この『エトルスカン・チョコホテル』はチョコの街ペルージャらしくコンセプトはなんせチョコ!エントランスにはチョコが満載した猫足のバスタブが置いてあるし、部屋の壁は一部板チョコの形になっている。そして明日の朝食はオプションで追加したチョコフォンデュ!
さあ、ペルージャの街をカッポカッポしようではないか。レセプションのおっちゃんによると「この坂道をひたすらお行きなさい。さすれば途中でスカラ・モービレ(エスカレーター)が出現しますので、それでチェントロまでいざなわれます」とのこと。
急な上り坂を行くとまず最初のスカラ・モービレに辿り着く。無料のそれは市民の足として非常に有用であると共に、観光客にとっては乗り継ぎ部分などは中世に迷いこんだような錯覚を覚える異空間であった。商業的にも利用され、ブロックごとにアトリエや本屋などが営まれ過去と現代が融合している。
スカラ・モービレを乗り継ぎ上昇、ようやっとチェントロの目抜き通りに到着。目抜き通りは腰を抜かすほど短く、そこから派生する路地ものけぞるほど短い。
あ、バーチ・ペルジーナ専門店発見!Baciは空港のお土産やさんで当たり前に鎮座している、濃紺に星模様の包み紙のチョコで、ここペルージャが発祥。バールや駅の売店などで妙に幅をきかせてるなと思っていたが、その頂点がこのバーチ天竺!グッズも豊富で、「明朝もう一度参りましょう」とその場を後にした。
さて、このペルージャにてやらねばならぬミッションがひとつ。『テレビでイタリア語』で登場したバールに潜入することである。
「しかしカーニボン、狭いチェントロとは言え住所も知らず見つかるでしょうかぁ」
「そうですねぇミヅーラさまぁ。あ、もしかしてここではないでしょうかぁ?」
ビックリするほど簡単に見つかったそのバールはシャンデリアがお出迎えする見事な装飾で、一言で言うと「お上品」、二言で言うと「テレビで見るより狭い」だった。あの人もこの人もテレビに出てましたねぇとヒソヒソ話をしつついただいたカッフェ・リストレットは最高でございました。お写真がないのがすこぶる残念。
その他にもイタリア語講座に登場した「必ずやお気に召すカッフェを作ってみせるぜ」と世のカッフェ好きに挑戦状をたたきつけたバリスタオヤジがいるバールを発見。「明日、出発前にもう一度参りましょうとも」とその場を後にしたのだった。
「カーニボン、次の公務は?」
「はぃぃ、まずは景気づけにバールでお飲み物でもいただくとなってございますぅ」
あ~こりゃこりゃ。
狙っていたお食事処が潰れてたという悲しい現実を乗り越え、我が優秀な家臣が提案したのは口コミで「このためだけにペルージャに来る」とさえ言わしめたリストランテ。人通りの少ない路地のしかも地下という怪しい外観でありながら内部は非常にキレイで、「どうぞお入んなさいな。ささ、このお席へ」と給仕に迎えられる。
ドーム型の天井に照明もほんのりとしていて落ち着く雰囲気。「ワタクシはぁ、キアニーナ牛をいただく所存でございますぅ」と家臣が鼻息荒く宣言。
キアニーナ牛と言えばトスカーナ名産だが、実は州をまたいでおりウンブリアのキアニーナ牛でもある。それぞれ別のウンブリア版キアニーナ料理をカーニボンが選んだ赤ヴィーノで流し込み、「ここの名物も制覇でございますミヅーラさま」と征服地図に赤マルを打ち、冷え込んだペルージャのチェントロにおやすみを告げて、再びスカーラ・モービレで下界へと帰っていった。