VIAGGI

TorinoOttobre 2002

朝7時を回り、駅のバールで朝食をいただくこととする。
通勤前の人々でバールは大盛況。店員のオバちゃんに注文方法を教授いただき甘いパンとコーシーをゲト!カウンターで立ちながらの朝食にシブさを感じる。

午前中、行きたいとツバをつけていた国立映画博物館『Museo Nazionale Cinema』へ。券売所でオバちゃんが「博物館だけにするか、塔も登るか」と思わぬ選択肢を提示され、せっかくだからと両方の券をご購入。

外観はこんなとんがりお屋根の建物でやんす
外観はこんなとんがりお屋根の建物でやんす
(2019年再撮影)

暗幕で仕切られた順路を進むと、映画の元となる幻影機の紹介から始まり、初期のものと思しきサイレント映画が、ベンチを置いたミニシアターで上演されている。暗闇を抜けると、中央吹き抜け部分を大きく囲むように、壁沿いに螺旋状のスロープがもうけられ、世界の映画のパネルが年代を追って飾られている。

吹き抜け中央部分の1階はというと、ラグジュアリーな椅子が置かれ、特大スクリーンに映し出されるモノクロ映画を楽しむスペースとなっている。

ポスターを舐めるように眺めながらスロープを上がっていくと脳内でかかるBGMは『ニュー・シネマ・パラダイス』。アルフレード~!ベニッ~シモォ~!特大サイズの感動を胸に塔に登ることとする。
古き良き時代の映画へのオマージュを詰め込んだ博物館、映画ファンには必見のスポットなり。

塔から眺めるトリノの街でやんす
塔から眺めるトリノの街でやんす

前述のとおり、映画博物館は別料金で展望台にも登れる。歴史的建造物の天井をぶち抜きゴンドラを通すイタリア人のいさぎ良さよ。

午後はFIATのお膝元トリノにおいて、ココへ行かない手はない!と前からツバをつけていた自動車博物館『MUSEO DELL'AUTOMOBILE』へ。中心部からタクシーで10分ほどの幹線道路沿いの閑散とした場所で、課外授業の小学生軍団くらいしか見学者がいない。

とは言え、FIATの創業者たちによって開かれたこの博物館、クラシックカーからF1カーまで約500台が展示されているイタ車好きが泣いて喜びそうな世界であった。

帰りの車中、タクの運ちゃんは『欧州で一番ンマいチョコはトリノ産だ』と鼻息荒く語った。確かに街には、ウィンドウを高級そうなチョコで飾った豪奢なパティスィリ〜が多く見られる。

入りたいものの、1週間同じ服の貧相な異国人は気後れしてしまう。ふとあるウィンドウを見ると、ボックスの中に子チョコたちが収納されている『FIATチョコ』なるものが!意を決して入店、カーニボンお買い上げ~。

そらそうと10月中旬ともなると、トリノはもうコートが必要なご様子。それを知らず、ギリシャの島で過ごした夏服のまま北イタリアへ上陸したコロナ隊。

「おやミヅーラさま、なんて涼しい格好を(暖)」
「カーニボン、いつの間にそんなベベをゲトしたのですか(寒)」
震える女王を横目に家臣はホクホクしていた。

おトリノはおトラムさまも走っておりますよぉ
おトリノはおトラムさまも走っておりますよぉ
(2019年再撮影)

夕食は偶然見つけたチネーゼ(中華)の店に入ることとする。時間が早いのか客が誰もいない。メニューを開きまたまた固まっていると、従業員が「食材を見て決めろ」と厨房へ手まねきする。

まず最初に登場するは青島ビッラ。しかも日本ではレアな大瓶!その輝くグリーンに一気にテンションが上がる。次々運ばれる料理はどれもンマく、たらふく食ってビッラもお代わりして、二人で15ユーロ。ここで『チネーゼ=安くてンマい』という図式がミヅーラさまの中で確立する。

お宿への道すがら、惣菜屋の窓越しに目が合った鶏の丸焼きを想いつつ、幸せな気持ちで眠りに落ちる。今日はよく行動しましたなぁ。ほんで明日はイタリアを離れる日ですなぁ。