VIAGGI
ガウガウ~!!!
朝、窓辺のハトさんと共に目が覚める。日本から日をまたいでイタリアINする行程はなぜか時差ボケに見舞われず、非常にカラダがラクと感じるコロナ隊である。
「カーニボーン、腹が減って死にそうですぅ~」
「ミヅーラさまは寝てるときと毒を吐いているとき以外、いつもそうおっしゃる」
ってんで、7時になるやマタドールの赤い布に突っ込む闘牛のように鼻息荒く食堂にダイブ。
さあさ、腹も膨れたことだし、次の街に向けて出発しようではないか。本日の宿泊地はローマから鉄道で約2時間程のアレッツォという街。ここはロベルト・ベリーニ監督&主演映画『La Vita é Bella(邦題:ライフ・イズ・ビューティフル)』のロケ地で、ロンプラ先生(バックパッカーの指南書:Lonely Planet)曰く「あまり見所はない」らしいが、映画を観た当時訪れたかった街なので訪問を決定。
「ンマいものがいただけるならぁ、どこでもお供いたしますぅ」優秀な家臣カーニボンの返答が毎度コピペなのは気のせいとして、アレッツォの名物求めてアンディアーモ!!
降り立ったアレッツォの駅前は車の往来も多く、なかなかな都会とお見受けされる。街路樹も何となくお上品な地域色を感じさせ、これからの街カッポが楽しみになってくる。
まずは駅前の観光案内所で、
「極東の王国からまいりました女王のミヅーラと家臣の羽ですぅ。街の地図をくださいなぁ」
「貧しいのにムリして欧州旅に来られたのはその風貌でわかります。ささ、貧乏臭いですから、この地図を持ってとっととお行きなさい」
と、溢れんばかりのホスピタリティーを受け、お宿のある目抜き通りへにじ寄ることとする。
目抜き通りに当お宿はあった。
「極東のコロナ王国からまいった、女王のミヅーラと家臣の羽ですぅ。お部屋貸してくださいなぁ」
「これはこれは、カネのない中よくぞお越しを。ささ、玄関先では貧乏くさいのでどうぞ中へ」
出迎えた宿主は、部屋の準備が整い次第電話しようと提案してくれるも、昼メシを喰らって街を散策するので大丈夫とお断りし、いざ街角パトロールへ。
アレッツォという街はチェントロが坂道で構成されており、その坂道を上りきった先にシエナのカンポ広場のような扇形のグランデ広場がある。
「カーニボーン、腹が減りましたぁ~」
「ミヅーラさまは、寝ているときとカネの勘定をしているとき以外、いつもそうおっしゃる」
ってんで、そこらの切り売りピッツァ屋を襲撃。「ハーフ&ハーフもできるぜ」というその店で、出来合いではなく新たに焼いてもらい、まずはビッラでかんぱ~い!ごっきゅんごっきゅん、ピヒャ~!ノドが乾いてただけに全力でンマい!!
腹も膨れたところで、
「カーニボン、次の公務はどうなっていますか?」
「はぃぃ、ミヅーラさまぁ、お次は『エノテカ訪問』となってございますぅ」。
我が優秀な家臣・カーニボンが調べたところによると、なんでも街の少し外れにヴィーノの試飲と購入ができるエノテカがあるとのことだったが、口コミで書かれている住所に当のエノテカがない。
「どういうことですかな、カーニボン(疑)?」
「き、きっと潰れてしまったのでしょう~(焦)」
仕方なしに目抜き通りのバールでまったりビッラでもいただこうということに。
と、その前に、この街に到着してから思っていたのだが、バールのテラス席で皆が版で押したように同じお飲物をいただいている。黒いストローでチュウチュウする透き通ったオレンジ色のその飲料はミントなんぞも浮かんで見た目オサレ。きっとここアレッツォで大人気のお飲物であるに相違ない。しかし、名称も分からないためオヤジビッラ(モレッティ)をおいしくいただく。
歩き疲れ、再び休憩ターイム!
どうしても皆が飲んでいるあのオレンジ色の飲料を・・・という執念で、グランデ広場を見渡すバールの壁ポスターを指しながら「コレくださいぃ!」。
なんでも名称は「アペロール・スプリッツ」だそうで、一口すすってみると・・・お!ほのかにオレンジの苦みで甘すぎずンマい!ほんで欲していたものをゲットした満足感で数倍ンマい!
初見ゆえ地域限定かと店員さまに訊くと、カンパリやらチンザノぐらいイタリアで流通してるから、きっと日本にもあるだろうとのこと。確かにその後、日本の飲食店でもよくお見かけした。
あ~さてさて。陽も落ちてきて、気になるはやはり本日のメシである。
「カーニボンや、夕食どころの目星はついているのですか?(疑)」
「はぃぃ、口コミによりますと、この近くにいいリストランテがあるようでございますぅ(喜)」
「先ほども確か口コミによってエノテカに・・・(疑)」
「そうそう、ミヅーラさま、お散歩しつつ覗いてみませんかぁ(楽)」
入店すると早い時間で客はまだコロナ隊だけのよう。手に提げていたCOOPのレジ袋を見るなり「ワシに土産かありがとう」とボケてきた店主におススメのヴィーノを聞くと、「ウチのヴィーノを試してみろ。気に入らんかったら勘定に入れないから」とのことでまずテイスティングをば。うむ、フツーにンマいのでこれをいただくこととする。
アンティパストにサラーメの盛り合わせ、プリモにラグー仕立ての『Bringolo』なるパスタ、セコンドに見た目ほど味の濃くない肉の煮込をもっさもっさ。うむ、どれもンマい!
と、突如「コレも喰ってみろ」とお椀に入ったサービスのリゾットも出される。うむ、トマト味でとろっとろに溶けてンマい!さて、これでご馳走さまとしようとしたら、頼んでもいないカッフェが運ばれてきた。カップの中にはハート形チョッコラータのサービス!ゴマつぶ目の二人が驚いた様子を楽しげに見ていた店主なのであった。
店主のおっちゃんはオチャメだし、給仕の女子もイタリア語モノラル対応でメニューを長々説明してくれるし、店の雰囲気もいいしで、リピ間違いなしのミヅシュラン2つ星!
いい具合に酔いが回り、立ち話に花が咲く若者があふれる通りをジェラート舐め舐め宿路についた。