ガウガウ～！！！

昨晩は深夜まで目抜き通りの若者たちが騒がしかったものの、安眠できていい目覚めなり。

「カーニボーン、腹が減って死にそうですぅ～」
「ミヅーラさまは寝てるときとハナをほじっているとき以外、いつもそうおっしゃる」

ってんで、提携バールで朝食を喰おうと向かうも日曜の朝だからか閉まっている・・・。前日宿主は「出発の頃なら開いてる」と言っていたのに・・・。やはりイタリア人の言うことはアテにならんとブーたれながら、駅のバールでカップッチーノとコルネットをもっさもっさ。

さて、本日はローマを州都とするラツィオに戻り、その北部ヴィテルボという街を訪れるのだ。

ヴィテルボは、脱衣所もない無料野天風呂からエステ併設の豪華スパまである有名な温泉保養地。神曲のダンテやミケランジェロ、ローマ教皇までもが浸かりにきたという温泉施設『TERME DEI PAPI（テルメ・デイ・パーピ：教皇たちの温泉）』に是非とも行こうではないか！というのが訪問の趣旨である。

「ワタクシはこのまあるいお顔をトゥルトゥルにする所存ですよ、カーニボン」
「ではぁ、ワタクシはぁ、このまあるいお顔をトゥルトゥルにする所存でございますぅ」

・・・カーニボンは時々ヘンなオウム返しをする子である。

さて、ヴィテルボには2つ主要駅があり、コロナ隊はお宿へは遠く街に近いポルタ・フィオレンティーナ駅に降り立った。交通量の多い駅前を歩き門をくぐると、噴水が散在する静かな旧市街に入る。

昔は生活水として使われたこの噴水たち、旧市街には99か所もあるそうな。カーニボンの羽GPSや住民への聞き込みを頼りに入り組んだ路地を歩くと、結婚式真っ最中の教会発見。そして教会のお向かいが我らのお宿であった。

すると式の参列者か傍観者が「ちわ〜」と駆け寄ってくる。「今鍵を開けます、オーサカからおいでなすった方々」と言うその青年は、どうやらこの宿の従業員らしい。

ミヅーラさまがネットで一目ぼれした本日のお宿は『Medieval House』（中世の家）という名の通り、内壁も石造りの蔵のようで、それでいて日当たりもいいモダンで清潔なお宿であった。先程の青年はここの息子で名前をマッテオ君という。すぐに宿主である彼のお母さんもやってきた。

「小さい部屋の方ならすぐ入れるし、30分もしたら広い方の部屋も片付くけど、両方見てから決める？」と気の利く提案。大きい方が浴室も広くて立派！と判明、出されたカッフェなんぞいただき待ってる間、本日訪れる『TERME DEI PAPI』への行き方を聞いてみる。

イタリア人にモノを尋ねて的確な答えをもらったことはまずないが今回も当然そうで、わからないがその温泉まで送迎してあげるとのこと！しかも安い入場チケットをお譲りいただけるとのこと！

何時に行きたいか訊かれ、「お昼を食べたのち、3時くらいで」と即答すると、シニョ～ラがどこかへ電話、「リストランテに今からニホンジンが向かうと言っといた」とな！しかも宿の前にバンを停めたおっちゃんに「あたしは別の客の案内があるから、アンタ連れてってやれ」と、他人に道案内を押しつけた！恐るべし女宿主！

おっちゃんも言われるがまま「こっちだ」とコロナ隊を先導。「アレがピッツェリアだ。しかし我々はこっちへ行く」と先へ進むも、「確かこの道なんだが」とブツブツ言いだした。町内で迷子になってる・・・。

「普段は車だから感覚が」と言い訳し出したので、「先程のピッツェリアで充分ですぅ」となだめると、ムキになったか更にモキュモキュ歩き出す。

「ああ～ここだここだ」とついに店を発見、「おーいニホンジン連れてきたぞぅ」。店から振る舞われたスプマンテをおっちゃんと共にごっきゅんごっきゅん、彼は「じゃあな」と去って行く。

昼は軽くパニーニでもよかったが、せっかくの好意ゆえラツィオ名物の白ヴィーノ『EST!EST!!EST!!!』でかんぱ～い！ごっきゅんごっきゅん、うむ、普通にンマい。アンティパストに魚介のマリネ、プリモにヴォンゴレ・ビアンコをいただき、端数を切り落とした特別価格で満足に昼食を終えた。

宿に戻り3時に温泉へ連れてってくれるマッテオ君と合流。ちなみにこの宿は常駐のレセプションはなく、客に鍵を渡したら母子は去るシステム。さて、マッテオカーで郊外を走ること10分程で待望の『TERME DEI PAPI』に到着。しかも「帰りは何時？」と、なんと迎えにも来てくれるとのこと！

脱衣所から外に出ると広がる先はまるでプール！無料の浮輪（形状的には浮棒）で温めな湯に皆プカプカ浮いている。プールの手前は浅いが奥はなんと水深2メートル！温度も場所で差があり、湯が噴き出す一番熱い場所でも長時間のプカプカに耐えられる程度。

1時間半ほど湯を堪能しお着換え。「ちょっとお写真を撮ってきますぅ」と消えたカーニボンがほどなくして、昼に食堂へ案内してくれたおっちゃんと戻ってきた。「お写真を撮っていたら、いきなり肩をグっとつかまれましたぁ」とな。ここでもおっちゃんは温泉の受付に「ニホンジン迎えにきた」とアピール。

あまりにお宿一家にこき使われているので、車中「宿のマダムとはお友達で？」と訊いてみると、「友達以上じゃ。わしゃダンナでマッテオは息子」とな！母子が宿の経営を、オヤジはハムメーカー勤務だそうで、そういや宿の前に停めたバンもハムバンだった。コロナ隊を降ろすとオヤジはまたクルマで去っていった。

さて、降り出した雨の中街をパトロール、しかし日曜で開いてる店も少ない。

「カーニボーン、腹が減ってきまsh（以下略）」
「ミヅーラさまは食べてるときt（以下略）」
ってんで、夜ゴハンの計画をば。

「口コミ上々のこちらなんかいかがでしょうかぁ、ミヅーラさまぁ（楽）
「カーニボン、そういや昨日は口コミのエノテカがなくなっていたような（疑）」
「あ、ミヅーラさま、まさにこの看板の『Tre Re』（3人の王様）ではないですかぁ（楽）」

入ってみると給仕がまかないを喰っており、開店まであと30分と追い払われる。

バールで家臣にビッラを恵んでもらったのち、

「先ほど追い払われた旅のかんむりと羽ですぅ。評判のメシを喰わせてくださいなぁ」。
「入り口でつっ立ってられては貧乏くさいのでとっとと席へ」

と、毎度のように丁寧に案内され、まずは赤ヴィーノでかんぱい、タリアッテーレっぽい何かとピチっぽい何かと、牛っぽい何かの肉をもっさもっさしたのであった。

なぜこんなにやっつけな書き方かと言うと、あまりミヅーラさまの記憶に残ってないからである。

「ゲフ、帰って屁こいて寝ましょうかぁ」と言ったかどうかは忘れたが、雨の中の歩き疲れと酔いでフラフラになりながら宿路についた。