VIAGGI
ボヘ~~!!
早朝、車掌が個室を回ってまもなくバーリ到着を告げる声が聞こえる。時差ボケで夜明け前から起きていたワタクシはそそくさと身支度をし、通路に出て駅到着を今か今かと待ちわびる。
一晩かけて辿り着いたバーリ駅に降り立った瞬間は、時間的な感覚でシチリアよりも、サブちゃんの函館よりも「はるばる来た感」があった。おお、朝7時前なのに意外と人が多い。4月の中旬でも朝は肌寒く、民衆は薄手のコートを羽織っている。とりあえず駅近のバールで朝食をいただきましょうか。
さてさて、まずは今夜の宿を確保せねば。ロンプラ先生(倹約旅行者の指南書:Lonely Planet)でツバを付けていた駅近No.1の宿へ。珍しく1階がエントランスになっているいわゆる『ホテル』といった佇まい。ちとお高いが、空室があるとのことでさっそく飛びつく。珍しくお部屋チェックをしなかったのは、あいにく満室で内見できる部屋が朝の時点でなかったのと、寝床をいち早く確保したかったからである。
部屋清掃の時間を潰すべく、とんがりお屋根の集落『アルベロベッロ』へ参りましょう。
アルベロベッロとは白い壁と石を積み重ねて作ったとんがりお屋根のお家たち(トゥルッリ)が集落となったユネスコ世界遺産。目的のとんがり集落はバーリから私鉄Sud-est線で1時間半ほど。イタリアの田園風景の中に、途中からポツポツと単品トゥルッリが登場してくる頃には目的地は間近。
駅に降り立つと、 期待に反して駅前は閑散としており街並みもかなりフツー。『トゥルッリはコチラ』なる看板をたどって10分ほど歩くと・・・坂にへばりついたキノコのような大量トゥルッリたちが目の前に広がる。おお!人口が増えたムーミン谷のようだ!
お土産屋やバール、リストランテなどが軒を連ねるトゥルッリ商業地区を散策してみよう。ちょうどコロナ隊が旅立つ数日前に、超一流クイズ番組『世界ふしぎ発見!』で紹介していた通り、平らな石をキッチリと積み重ねお屋根たちは作られていた。そしてひとつ要の石があって、それを引っこ抜くと総崩れするのだそうな。家一軒かけたジェンガも楽しめるという小憎らしい遊びごころ。渡辺篤史さまもきっと探訪したいに違いない。
アルベロベッロにて少し興ざめな点は日本語の看板が異常に目に付くこと(失礼!)。「眺めのいい席あります」「どうぞお入りください」とそこかしこで発見、ちとカネのニオイがする。バーリ到着の時点で肌寒かったものの、この日はピーカン晴れで日中は汗ばむくらいの気温。まだハイシーズンではないのか観光客の姿はそれほどなく、我々以外客のいないバールにて飲み物をすすりとんがり集落を後にする。
あっけないアルベロベッロ訪問からバーリへ戻り、ペコペコの腹を抱え食堂を物色。しかしもう午後2時も回り店は徐々に昼休みに入っている。残っている選択肢はマクド○ルドやチェーンのピッツァ屋だけなので、諦めてビッラとパニーニを購入、もっさもっさしながら宿へ戻る。
ここで初めてお部屋と対面。おお!さすが朝食付きの(我々レベルで)いいホテルだけに立派!昨日が夜行列車だったため、風呂に入らないこと2日。早速ひゃほ~うと風呂タイム。
一休みして夕方からバーリの街をパトロール。バーリは整備された新市街と旧市街から構成されており、旧市街は迷路なみに複雑な、洗濯物がヒラヒラはためく下町的な住居エリアとなっている。夜は狭い路地を照らすオレンジ色の街灯で、幻想的な雰囲気をかもしだす。
そろそろ晩メシをばと、ロンプラ先生で予め調べておいたトラットリアへ。これもカーニボンの羽のおかげか、立ち止まった所がそこであった。我々が一番乗りだったが後に人で賑わうそのお店は、かなり庶民派な雰囲気とお値段設定。
まずは白ヴィーノを注文。ごっきゅんごっきゅん。ピヒャァ~~。アンティパストはモッツァレッラ丸ごとと、カルチョ~フィ(アーティーチョーク)のマリネなど。続いてフリットと海の幸のオレッキエッテ(耳の形したパスタの一種)。最後にポンと、注文してない果物とドルチェなんぞ置かれたので突っ返したら、単品の値段が書かれてるくせにどうやらコースだったらしい。損した気分になったが、それでもお会計お一人さま12.50ユーロ!安っ!少し港を散歩し、宿までの20分ほどの道のりを二人でヨレヨレと帰った。