VIAGGI
ボヘ~~!!
さあ、本日は洞窟住居(サッシ)群としてユネスコ世界遺産にも登録されたマテーラを訪れましょう。
1時間半ほどの移動の途中に1度乗換えが発生するが、乗り換えた列車で調査メモを広げていると、高齢な日本のおっちゃんが我らコロナ隊の席にツツツ・・・と歩み寄り「ちょっとココ、よろし~か~」。
3日ぶりに聞いた日本語は耳なじみのある関西弁で、隣に腰掛けるとおっちゃんは我々の(流暢で美しい)日本語が聞こえたので、プーリア州の観光スポットについて教えてもらえると思った、と喋りだした。
『NISHINOMIYA』(兵庫県西宮市と思われる)と書かれたキャップを被ったそのおっちゃん(以下、ニシノミヤさん)には旅の同行者がおり、「あすこにおるわぁ」と指し示すと、後方の席で独り静かに座っている別おっちゃんが。絵の先生だそうで(以下、スケッチ先生)、今回もスケッチを楽しみながらマルタ島も訪問して来たらしい。
おっちゃんズは40年来の友人関係とのこと。話好きなニシノミヤさんと寡黙なスケッチ先生はよくできた凸凹コンビだ。その間もスケッチ先生は席に独りまどろんでいたが、ニシノミヤさんの「フランスは腐るほど行った」話を聞いているうちにもうマテーラ駅到着。
列車を降りて真っ先に英語で道を尋ねる旅慣れたおっちゃんズと別れ、我らコロナ隊はまず観光案内所へ。そこではサッシ群までのルートと有料施設の説明があり、たいそう立派な地図や多少日本語の書かれたガイド本も進呈された。地図が有料なヴェネツィアは見習っていただきたい(無料であったらスンマソン)。
5分ほど歩くと広場にぶち当たり、洞窟住居(サッシ)群が一望できる展望スペースで観光客や遠足に来た子供達が写真を撮っている。あ、一足先に着いたおっちゃんズもシャッターを切っている。
さあさ、ここから長い散策だ。2つの地区に分かれているうちの、まずはサッソ・バリサーノ地区へ。険しい斜面にキノコのように生えているサッシは外観の可愛らしいアルベロベッロのトゥルッリとは真逆で、家畜と一緒に寝泊りしたというかつての貧しい農民の住居だけあって簡素で乾いた感じが物悲しい。外れにある廃墟の穴ぐらなんぞは「罰ゲームで一晩泊まりなさい」と言われてもゴメンこうむるスポットである。
渓谷を見渡しながら斜面を上がって行きましょう。が、整備された階段ではないのでかなり脚力を要するし、日差しも暑くもうヨレヨレ。家臣のけん引によりようやく上りきる。そうそう、マテーラ土産も買わねばね、ということで入った工房にて「ここはワタクシが」と申し出るカーニボンにサッシ壁掛けを買っていただく。毎度ありがとう、カーニボン。
そろそろお昼としましょうかねぇ。テーブル数も少ないひっそりとした食堂へ潜入、まずは白ヴィーノをいただく。ごっきゅんごっきゅん。ピヒャ~~・・。ラム肉のローストと、ワタクシはポモドーロのオレッキエッテ、カーニボンは『カルツォーネ』と呼ばれるラビオリの親戚すじみたいなものを注文。
ピッツァの親戚すじである『カルツォーネ』は以前カーニボンが食あたりに遭ったいわくつきの食いモンだが、今回のソレは腹下しこそしなかったものの、パスタの詰め物の味付けが砂糖というなんとも「・・・」なシロモンであったらしい。
腹も膨れたところで散策を再開。居住区のなだらかな坂を上りドゥオーモを拝見、エラい高台にあるため眺めが非常によろしい。このマテーラ、想像以上に周る範囲が広くて楽しめる。計画段階では、メルヒェンなアルベロベッロに対し、荒涼としたマテーラという印象で「ホントに行って楽しいか?」という懸念により候補から外れそうになったが、うん、来て正解。
さて、もうそろそろで帰りのお時間。ひんやりした地下の駅ホームには同じくバーリへ戻る観光客が溢れてきた。と、そこへ「や~、ど~もど~も」。あ、おっちゃんズも一緒だ!
「ココ、よろし~か~?」とやはり我々に同席し、携帯電話のローミングに関する質問をぶつけてくるニシノミヤさんと、やはり若干距離を置き、静かに座っているスケッチ先生という図は往路のコピペだが、そのスケッチ先生がこちらへ無言でずずいと差出したスケッチブック。見ると、短時間のマテーラ訪問で描いた立派な水彩画たち。寡黙なスケッチ先生が唯一見せたコミュニケーションであった。バーリに着くまでニシノミヤさんのトークイベントは続いたが、微笑ましい凸凹おっちゃんズに幸あれ。
今夜のお食事はロンプラ先生であらかじめ決めていた海鮮モノのンマいお店へ。風が気持ちいいテラス席へ通される。まずは白ヴィーノでかんぱ~い。ごっきゅんごっきゅん。ピヒャァ~~・・。お隣のテーブルの熟年カップルにあやかり、生イカやら生エビやらとにかく生モノをご注文!
生牡蠣や生ウニは知っていたが、それ以外の生魚をこっちの人でも食すのですなぁ!味付けはモチロン、塩とオリーブオイル、そしてレモン!豪快にグリルした魚介も塩だけでンマいのは、やはり素材の良さと屋外の雰囲気と食事に合うヴィーノのチカラか。お勘定はそれなりになったものの大満足。ジェラートを舐め舐めして、宿までの長い道のりをフラフラ戻った。